『日本経済の歴史 Ⅰ中世』

岩波講座『日本経済の歴史 Ⅰ中世』岩波書店.2017のまとめ。

中世 11世紀から16世紀後半 (岩波講座 日本経済の歴史 第1巻)

序章~第5章まであり、それぞれ執筆者が異なるので一日一章ずつまとめていく。今日は1日目、第1章「人口と都市化と就業構造」斉藤修・高島正憲のまとめ。

 

第2節

ここでは人口史を見ている。日本の人口は古代から13世紀までは減少、停滞をしていた。それは大陸からの疫病の持ち込みに由来するものだった。大陸との交易の興隆と断絶によって人口も変化する。それが14世紀以降、緩やかに人口増加し始めた。応仁の乱の頃の日本人口は約1000万(今の東京23区の人口と同じくらい)になっている。次に飢饉の頻度と人口との関係を見ている。飢饉の減少が見られるのは17世紀以降であり、これは人口増加が始まる14世紀とは一致しない。このことは戦国大名の一円支配によって凶作が飢餓に繋がってしまう確率を低めたという説明を成り立たせる。ただし、人口は14世紀以降に増加したが、それが即経済成長に繋がるわけではないとしている。

 

第3節

ここでは都市の発展について見ている。14世紀頃から定住性が高まり、集村化が進行した。特に中世中期以降の宿駅関係都市と政治関係都市の大幅な増加が認められる。ただし、それぞれの都市は小規模であり、京都や鎌倉以外で人口一万人をこえる都市は少なかった。

 

第4節

ここでは就業構造の変化を見ている。まず職人歌合から職業の種類の増加をまとめている。各産業のパーセンテージを出しているがそれは無意味だろう。選んだ職種には意図があるだろうし、職業が分化したともいえる。そもそも人口比ではないからここから分かることは少ない。繊維産業については16世紀には近世的な分業体制への動きがあったが、特にめぼしい変化として染料の市場が登場したことと木綿の導入が挙げられている。最後に17世紀への展望に触れて終わっている。