2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

黒田明伸『貨幣システムの世界史』Part.終

黒田明伸『貨幣システムの世界史』のまとめ。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 第4章 ここではまず中国の銅銭使用について見ている。歴代の中国王朝は統一された銭貨を発行して民間に受領させようとしたが、各地で私鋳銭が作られてその浸透は上手くい…

黒田明伸『貨幣システムの世界史』Part.1

黒田明伸2003『貨幣システムの世界史』岩波書店.のまとめ。 日本の経済学史の本を読んでいると必ずと言っても良いほど引用されているので私も読もうと思ってbook offで買いました。以下、まとめ。 序章 現在では日本でも共通で円という単位で一つの通貨が流…

早島大祐『徳政令』Part.終

高木久史『徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか』のまとめ最終回。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 徳政令に関連して分一徳政令という奇妙な法令が誕生した。その背景には室町幕府の財源確保という目的があった。徳政令により経営縮小を余儀…

早島大祐『徳政令』Part.2

早島大祐『徳政令』のまとめ二回目。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 今回は4~7章のまとめ。 金融業が上手くいくためには二つの条件がある。1つ目は返済が十分に期待できる制度環境があること、2つ目が貸し倒れのリスクを上回るほどの借用需要の発…

早島大祐『徳政令』Part.1

早島大祐2018『徳政令 なぜ借金は返さなければならないのか』講談社現代新書.のまとめ。 日本中世に頻繁に出された徳政令とは、ある日突然借金が帳消しになってしまう事態のことである。ただし徳政令は時代とともに変化した。古代においては文字通り徳のある…

高木久史『通貨の日本史』Part.終

高木久史2016『通貨の日本史』中公新書.のまとめ、最終回(次の「幕末維新~現代」は理解出来なそうなので近世で終わり。そして今回の江戸期も難しいので短め)。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 江戸期には三大改革を始め、多くの改革が行われたが…

高木久史『通貨の日本史』Part.2

高木久史『通貨の日本史』のまとめPart.2です。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 今回は2章近世前期。 江戸の貨幣制度は中世にその起源を求めることが出来る。例えば、銭の国内生産は各地で行われ、無文銭などが登場する。形態としては商人が職人を雇…

高木久史『通貨の日本史』Part.1

高木久史2016『通貨の日本史 無文銭銀、富本銭から電子マネーまで』中公新書のまとめ。 第1章 中世~古代 日本では古代から社会慣行として布、米、塩が通貨として使われていた。金属貨幣では天智天皇の治世には円形で中心に孔のある無文銭銀が存在していた。…

安良城盛昭『太閤検地と石高制』Part.終

安良城盛昭『太閤検地と石高制』のまとめ最終回。 前回はこちら kyshami.hatenablog.com 石高制の成立は太閤検地の開始時期である天正10年というのが通説であったが、実はそれ以前に成立していた。耕地に課されて実際に収取される年貢は多くが米であり、残り…

安良城盛昭『太閤検地と石高制』Part.2

安良城盛昭『太閤検地と石高制』のまとめのPart.2 前回はこちら kyshami.hatenablog.com 豊臣秀吉の年貢搾取の体系は天下統一以前にできあがっていた。畿内では太閤検地が繰り返され、その原型が作られていく。例えば収穫量の3分の2を領主分、3分の1を百姓分…

世界を変えるか自分を変えるか

何か不都合なことが起きたときに、「世界を変えるか、それとも自分を変えるか」という問題があります。 私はおそらく「自分を変える」を選ぶと思います。 今までの書いてきた記事からも分かるとおり、私はなにか物が壊れても気にせず、ずっと使い続けてしま…

安良城盛昭『太閤検地と石高制』Part.1

Amazonで大分昔の古本を購入してしまいました。 安良城盛昭1969『太閤検地と石高制』NHKブックス. 去年、大学の授業で各時代毎に主要な論文を読んでいく授業があったのですが、その中で私が最も感動した論文が「太閤検地の歴史的意義」でした。 それを書いた…

『日本経済の歴史1 中世』Part.終

『日本経済の歴史1 中世』の第3章まとめ。 前回はこちら。 kyshami.hatenablog.com 第1節 「中世の農業構造」西谷正浩 中世成立期には大河川の中流域を中心に水田開発が進んだ。そして地域差を伴いながら粗放的な農業から集約農業へと発展した。ただし、収穫…